Blue Moon Redux

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「暴力的な男性にはより多くのセックスパートナーがいる」のか

「暴力的な男性にはより多くのセックスパートナーがいる」との研究結果 - GIGAZINE

Brains, brawn, and beauty: The complementary roles of intelligence and physical aggression in attracting sexual partners - Seffrin - 2021 - Aggressive Behavior - Wiley Online Library

この記事と元の論文を読んで思うところをいくつか。

まず、女性がsexually attractiveに感じること(「モテる」こと)、とパートナーとなることは分けて考えるべきだ。

また、いっときに付き合っている女性が多いことは、必ずしもその男性が「暴力的だからモテている」ことを意味しない。というのも、単にその男性がより多くの女性にアタックしているということかもしれないし、セックスへの関心が強いからより色々な工夫や勉強をするのかもしれない。

これはつまり、パートナーが多いことと男性が暴力的であることは、単に疑似相関である可能性がある、ということだ。実際に重要なのは暴力的であることよりも性への関心の強さなのかもしれない。そして、暴力性と性への関心の強さはどちらも「男性ホルモン」と呼ばれるテストステロンの量と関係しているので、本当に相関関係があるのはテストステロンの量と「モテる」ことなのかもしれない。

異なる観点。元の論文はしきりに進化的な観点への結びつけをしようとするわけだが、これは難しいのではないか。というのも、そもそも現代社会においてより多くの数の女性(男性)とセックスすることは別に「適応的」ではない。むしろ、様々なリスクが伴うし、コストもかかる。後は、intelligence は負の相関があるというのも、上記と関係しているだろう。Intelligence が高いほど、多くのパートナーを作るのはよくないことだとか、倫理面でのコストを考慮したりする人がいるだろう。